ARTCOURT Gallery

Exhibitions

尹 煕倉「水辺景 − みずべにけい」

2026. 10. 31 [sat] - 12. 5 [sat] 11:00−18:00[土曜日17:00まで、日月祝 休廊]

アートコートギャラリーでは尹 煕倉展「水辺景 − みずべにけい」を開催します。

尹 煕倉が慎重に作品を配した空間に身を置き、それを読み解くために、観者は心を開きつつ、身構える。
何に身構えるのか。スペースに閉じ込められた鋭利な感性に気づくためか。
砂を描画材とする尹の絵画は、波一つ立てぬ静寂をまとう。個性を隠した白い陶立体は屋内から中庭へ続き、空間を深くする。

尹は矩形の陶を作る美術家である。それを空間に静かに置く。そして焼成した砂を描画材とする絵画を制作する。
尹は水辺を歩く。未踏の景を歩く。その行為は、即ち、尹が陶粉画と呼ぶ絵画のコンセプトを体現するためであり、描画材料となる砂を入手するためでもある。
本展出品作での砂の採取地は、遠くはイギリスのテムズ川であり、日本では京都の鴨川や瀬戸内海、尹の故郷にある兵庫県の揖保川であり、そして当廊正面を流れる大川(旧淀川)である。大川を遡ると、やがて三川に分かれる。尹はそれらの源流まで歩き砂を採取する。それは学術的な試験のプロセスを踏むように篩にかけられ、分別され、幾種もの温度で焼成され、乳鉢で擦り潰され、陶粉となる。微妙な色合いが現れるのは言うまでもなく、尹の絵画のための唯一無二の顔料となる。
水辺を無心に歩くことから始まる尹の制作は、最終プロセスまで慎重にすすめられるが、筆を下ろしたあとは躊躇なく一気呵成に描きあげることが肝要となる。通常の絵具ではない。塗り直し、描き直しはきかない。

昨夏にパナソニック汐留美術館で開催された「ピクチャレスク陶芸 アートを楽しむやきもの –「民藝」から現代まで」に出品の折、尹は手作り画材であり、顔料の役目をする焼成され、均一な粉状にされた各地の砂を小袋に入れ、採取地を記し、色見本帖のように並べて作品とともに展示した。作品だけでなく、作家の行為の記録が展示され、それは作品同様に思索を喚起するものであった。作家の「水辺を歩く、砂を採取する、陶粉にする」行為が象(しょう)を結んでいた。

本展では、絵画約10点、陶立体約10点とともに、焼成された12ヶ所のテムズ川の砂、6ヶ所の淀川の砂を展示します。


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◆ 作家ステイトメント


「水辺景 – みずべにけい」


大川の流れの辺(ほとり)に景を作る。

ギャラリーの展示室は、中庭を囲んで回廊のように連なる。
この部屋の移動の歩みに応じて、床や壁や壁際に陶立体を配し陶粉画と並べる。
空間を感じながら見え隠れするように。視覚と体感と。

中庭を囲む部屋の連なりに加え、陶立体、陶粉画の流れで三つの積層を設える。
それぞれに独立し、それぞれと交わる。
その重なりに何が見えるか。

借景の大川の水面の煌めきが室内から垣間見えるとき、
作品を見ている此処が中庭と繋がって、さらに何処かの川へと広やかに膨らんで流れ出し、未踏の景をあるく。
そんな妄想をする。


尹 煕倉


* 大川は河川改修された現淀川以前の流れでアートコートギャラリーの前を流れる川

関連イベント

  • 10. 31 [sat]
    14:00−15:30 | 対談 [米田 晴子(姫路市立美術館 学芸員) x 尹 煕倉]
    15:30−17:00 | レセプション
    *予約制(先着20名様)ご予約はメールまたは電話にて承ります

出展作家

尹 煕倉