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OAP彫刻の小径2022-2024: 市野雅彦・坪田昌之「Twist」

2022.11.3 (thu) - 2024.4

私たちの周囲では様々な性質を持つものが隣りあい存在しています。一見すると関係のないように思えることも、案外すぐ近くで、あるいは遥か遠いところで影響を与え合いながらひとつの世界を共有しているかもしれません。

本展では「Twist」をキーワードに、陶芸家 市野雅彦の構想に基づいて、市野と彫刻家 坪田昌之が共同制作に挑みます。両者はこれまで、素材の持つ特徴や文化的背景、感触を手掛かりに作品を制作してきました。素材に宿る気配を読み解き、特性を引き出すことで造られた作品は、自然物や人類の文明への畏敬の念が込められています。今回は、土・石・木・金属を素材に用いて、互いの専門分野をまたぎ、造形感覚や技術を共有することで化学反応を起こすように作品が生み出されます。異なる素材が共存する姿を自然と人の営みが同居する「彫刻の小径」で体感することで、私たちの日常を形づくる様々な巡り合わせへ思いを馳せていただければ幸いです。

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【作家紹介】
市野雅彦は、約35年にわたる活動のなかで、丹波の伝統と精神を受け継ぎながらも様々な技法や表現に挑戦し、一つのスタイルに留まらない独創的な制作を続けてきました。制作初期には洗練されたフォルムに繊細な装飾模様を彫り込んだ作品を手掛け、’95年に当時史上最年少の34歳で日本陶芸展最優秀作品賞を受賞。’90年代後半からは、丹波伝統の灰釉と赤土部(あかどべ)による二つの形態が組み合わさった作品など、土のかたちや質感にこだわった自然で自由な造形を目指すようになります。近年では不純物の多い土を好んで用い、内側からの膨らみや亀裂など土の性質により焼成時に引き起こされる思いがけない現象を享受し、手仕事と自然の摂理が共存するかたちを生み出しています。大地の呼吸にじっと耳を澄ませ寄り添うように創られた市野の作品は、瑞々しい生命感とともにユーモラスで愛らしい表情を湛えています。

坪田昌之は、人間の内にある根源的なものと対話する力、またそれを呼び起こす事をテーマに、モダニズムと手仕事のぬくもりが融合した彫刻作品を数多く制作しています。かたちと色、質感の組み合わせがもたらす感覚の変化に深い関心を寄せ、木や石、金属、顔料など、人類が古くから用いてきた素材をもとに、色彩・形・陰の組合せにより「振動」を知覚化させるシリーズや、彫り出しの強弱を巧みに調和させたテクスチャーで「風」を表現するシリーズなど、鑑賞者の身体感覚に働きかける独自の造形を展開しています。また、人と自然とを繋ぐ彫刻制作のみならず、作品と共に空間を演出するアートプロデュースも手掛けています。

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■OAP彫刻の小径について

OAP彫刻の小径は、天神祭でも知られる大川を臨む水辺のプロムナード沿いに位置します。一年半毎にテーマを設けて展示替えを行い、親しみやすくをモットーに国内外で活躍する気鋭作家の作品を紹介する野外彫刻展を開催しています。

出展作家

市野雅彦、坪田昌之