野村仁「コスミック・センシビリティー ―太陽・酸素―」
2025.9.30[tue] - 11.29[sat]11:00−18:00[土曜日 −17:00] 日・月・祝 休廊
現代美術家・野村仁の個展を開催します。昨年に展示した《軟着陸する隕石’97》と対となる、YS-11の尾翼に載せて隕石を迎えるもう一つの大型作品《軟着陸する隕石’96》(1991-1996)を中心に、本展では太陽と酸素をテーマとする写真作品や、星の光を音で聴くスコア作品とともに、野村が探求した宇宙と地球上の生命とのつながりを見つめます。
物体に“時の経過”を見る独自の視点をもち、野村は1970年より写真を主な制作手法とする彫刻表現の世界を拓きました。そして、カメラのレンズを地上から天体の運行に移行させて以降、宇宙の諸現象や自然の働きををコンセプチュアルに観察し、ユニークな創造性と多様なメディアで表現しながら、人々と共に感受できる場を創出します。
-「ここで試みようとしているのは、宇宙・天体の運動と地上の生命・文化とが織り成す照応関係の不思議を感じることである。」
(野村仁による《軟着陸する隕石》のためのステイトメントより)
宇宙を旅して地球にたどり着き生命の素をもたらしたとされる隕石、太古の海で最初に酸素を生み出した生物と時を刻み続けるストロマトライト、そして絶え間なく生命に光とエネルギーを注ぎ続ける太陽。今を生きる私たちの身体も形づくる重要なファクターとして、野村はこれらをアクティブに作品に取り入れ、宇宙と地球上の生命とのつながりを提示しました。
また、天体にレンズを向ける転機となったスコアシリーズは、宇宙と人を結ぶ野村のライフワークとして知られています。本展で紹介する《‘pleiades’ score》は、《‘moon’ score》と同様にあらかじめ五線譜を写し込んだフィルムに多重露光して制作され、夜空に青く光るプレアデス星団を捉えた「星の譜」です。10月3日の夜には、野村が撮影した写真から採譜や作曲・演奏を手がけ、共同制作に長年携わる吹田哲二郎氏をゲストに迎え、2023年までに制作されたスコアシリーズの展開やエピソードをお話しいただきます。
関連イベント
- 2025.10.3[Fri.] 18:00-19:30
野村仁作品について語る「スコアシリーズの全容」
ゲスト:吹田哲二郎 (サウンドアーティスト)
出展作家
野村仁
【主な出品作品】
・《太陽:5月》(1985-1992)
・《酸素:35億年の営み》《ストロマトロジー:地球自転の永年減速》《ストロマトライト:1年はかつて435日だった》《ストロマトライトの海》(いずれも1992)
・《軟着陸する隕石 '96》 (1991-1996)
・《‘pleiades’ score : 励起する真空》 (1980-1981)
・《草叢にBlack Holeが.....》 (2017/2018)
など、約10点を予定。