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OAP彫刻の小径2025-27: 韻をふむ・修景とヤキモノ|井上雅之、中井川由季

2025. 11 - 2027. 4 OAP彫刻の小径(OAP緑地公園内、大川沿いのプロムナード / アートコートギャラリーより徒歩1分)

大阪市北区の「OAP彫刻の小径」において、陶という素材と向き合い、大型作品を制作する井上雅之(1957-)と中井川由季(1960-)による野外彫刻展を開催します。

自ら形を変えていくかのようなしなやかな造形。ひんやりと、じんわりと、温度をまとう陶の肌合い。両氏の作品は「形づくること」そのものの愉しさと、土という素材が持つ本質的な魅力に満ちています。複数のパーツが重ねられた作品は、まるで言葉が韻を踏むような心地よいリズムと、確かな技術に裏打ちされた美しさを湛えます。本展では、既設の展示台へ腰掛けるような球体の重なりや、小径の中で新芽を伸ばす樹木のようなかたちなど新作8点が登場します。

素材の反応や展示空間の息遣いを丁寧に感じ取り、それらに寄り添い応答しながら新たな風景を紡ぎ出してゆく作品群が、楽しげに、密やかに、四季と響きあう「彫刻の小径」をぜひご体感ください。

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井上、中井川ともに長い間、陶を素材として大きな立体作品を制作しています。

井上は自身が作る作品を客観視し、素材から受け取ったものを取り込み、再び形に反映させながら制作を続けています。
また、中井川は小さな自然物からモチーフをもらい、抽象化し拡大させて制作しています。

今回の野外設置にあたって存在感のある台と作品との、また修景との関係をどのように持たせるかが課題となりました。
台と作品がなるべく乖離せず、台の高さを生かしつつ、街路樹や藤棚に埋没しないようにその場に自ずから、佇ませることが出来ればと考えています。


井上雅之・中井川由季


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〈作家紹介〉

井上雅之
Masayuki Inoue

ロクロの回転によって立ち上がっていく土の造形に実在感を感じ、絵画から陶へと転向した井上は、80年代中頃より本格的に陶の作品を発表し始めました。意図した行為に呼応して現れる形態や、焼成されて硬く変化する性質など、制作過程の中に人為と自然との往還を見出し、素材の反応を一旦受け止め、観察し、再構成することで形をつくりあげていきます。成形した形状を解体し、その破片による形を再構築して、空間に立体的なドローイングを描いていくように展開される作品や、板状のパーツをボルトで組み上げたダイナミックな大型作品など、様々なかたちを生み出します。

中井川由季
Yuki Nakaigawa

80年代後半より陶を表現素材とする作家として活躍する中井川もまた、粘土を手捻りで形作り焼成した量感のある大型作品を中心に発表してきました。「クヌギ林の庭にうごめく生き物たちの、美しくグロテスクな形の発見が作品を作る動機となる」と語る中井川は、自然からインスピレーションを得て、陶ならではの柔らかさと肌触りを纏った温かみのある作品を制作します。少しずつ表情が異なるいくつかの形を並べたり積み重ねて構成される作品は、植物の種や昆虫の卵といった生命の基本単位となる形を連想させ、命を宿しているかのような不思議な存在感に満ちています。


〈OAP彫刻の小径について〉
OAP彫刻の小径は、天神祭でも知られる大川を臨む水辺のプロムナード沿いに位置します。一年半毎にテーマを設けて展示替えを行い、親しみやすくをモットーに国内外で活躍する気鋭作家の作品を紹介する野外彫刻展を開催しています。

出展作家

井上雅之、中井川由季