ARTCOURT Gallery

Exhibitions

吉岡千尋「griglie」- 開廊20周年記念展 Vol. 6

2023. 11.11 [sat] - 12.16 [sat] 11:00-18:00 (土曜日17:00まで) *日・月・祝 休廊

この度、アートコートギャラリーでは吉岡千尋の個展を開催します。展覧会名「griglie」は、イタリア語で「格子」、「グリッド」を意味する「griglia」の複数形表現です。

庭先に咲く薔薇や青空に映える紅葉、イコンの聖人が纏う衣装など、吉岡は日常や旅先で出会った事物や光景を、グリッドを引いた画面に「写し描く」という姿勢で絵画を制作しています。その過程で浮かび上がる現実と認識のズレや記憶の空白を省略や補足といった控えめな筆の身振りに置き換え、あるいは、幾種類もの同系色の顔料を用いて記憶の中に漂う色を探るとき、吉岡の絵画制作の主題となっているのは、彼女と対象の間に結ばれる親密でありながら埋まることのない距離、掴み切れない空間そのものだと言えます。

実体とイメージ、作家が感知した両者の差異に息づく「伝わらなさ」は、グリッド上に丁寧に重ねた色彩と繊細なタッチ、さらには、イリュージョンと平面性、地と図、時間性といった絵画をめぐるさまざまな問題によって多層的に包まれて鑑賞者へと差し出され、彼/彼女らの想像力によって補われることで、より豊かなイメージとなって漂い続けます。

「正面に見えるこちらと同じものが、全く一緒というわけではなく、少しズレて存在する。」*1
ものを見るとき、絵を描くとき、こうした存在のあり様に魅かれるという吉岡にとって、グリッドは、「写し描く」行為においてイメージの全体像と「ズレ」を共存させながら、対象と画面と自らの距離を一定に保つための基準線であり、絵画の存在を可能にしていながらそれ自身は姿の見えない透明な被膜に鑑賞者の意識を繋ぎ止める方途でもあります。

2017年以来6年ぶりの個展となる本展では、吉岡の絵画の拠り所であり続けてきた「グリッド」に改めて焦点を当てるとともに、「色」という不確かな存在を具現化・共有することを目指して、長年継続している〈sub rosa〉シリーズに加え、檸檬や石畳など新たなモチーフによる新作群をご紹介します。

関連イベント

  • 2023. 11.25 [sat]
    14:00−15:30 対談 【小林 公(兵庫県立美術館学芸員) × 吉岡千尋】
    15:30−17:00 レセプション
    *対談は要予約・先着20名|お申込みはアートコートギャラリー(Email. info@artcourtgallery.com / Tel. 06-6354-5444)まで。

出展作家

吉岡千尋